1月も半ばとなり、少し遅い挨拶になりますが、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。皆さんはお正月を、楽しく過ごせましたでしょうか。

さて、2016年の第1回目は、確定申告の話題を取り上げます。

昨年の医療費が10万円を超えたら…

2015年にお子さんが生まれたり、歯の治療をしたりして、1年間に10万円を超える医療費がかかったご家庭は、医療費控除が受けられます。医療費控除には足キリ額といって、差し引かなければならない金額があって、その金額は一般的に10万円。たとえば、昨年1年間の医療費が30万円かかっていれば、足キリ額の10万円を引いた「20万円」を医療費控除として申告できるわけです。

医療費控除の申告をすると、医療費控除の金額を所得から減らせます。所得が減れば連動して、納めるべき所得税額も減ることになります。所得税は昨年のうちに納めているので、医療費控除の申告をおこなうと、昨年納めた所得税の一部が戻ってきます。このように税金を返してもらう申告を「還付申告」と言います。

還付申告をおこなうと所得税が戻ってくるだけでなく、今年の6月から支払いが始まる2015年の所得にかかる住民税も減らせます。

また住宅ローン控除を受けていて、昨年の所得税額が0になっている場合でも、医療費控除の申告はしておきましょう。戻ってくる所得税がなくても、医療費控除の申告によって住民税を減らすことができるからです。

医療費が10万円以下でも、医療費控除の申告ができるケースも

医療費控除を計算する際、出産育児一時金は出産にかかった費用から引かなくてはならないため、「10万円を超える医療費なんてかかっていない」というご家庭もあるでしょう。そのような場合でも、ご両親と同居、あるいは二世帯住宅などで暮らしている場合は、親世帯の医療費と合算することができます。

医療費控除は、同居(生計を一に)している家族の誰が申告してもOK。一般的には「収入の高い人が申告すると有利」だと言われていますが、「税金を払っている中で、収入が少ない人」が申告すると有利になるケースもあります。

たとえば親御さんは、年金暮らしで所得税を払ってはいませんか。65歳以上の人は、年金収入から公的年金控除の120万円を差し引くことができます。仮に年金収入が200万円だとすると、200万円-120万円=80万円が所得になります。所得が200万円未満の人は、所得の5%が足キリ額になりますので、このケースの場合の足キリ額は所得80万円×5%=4万円。10万円ではなく、医療費が4万円を超えれば医療費控除の申告ができるわけです。

還付申告はすでにスタート早めに申告をすませるのがおすすめ

ところで、自営業者などがおこなう確定申告は2月半ばからスタートしますが、還付申告の受け付けはすでに始まっています。確定申告がスタートすると、税務署が混み始めますので、早めの申告がおすすめ。早く申告すれば、所得税が戻ってくるのも早くなります。

初めて医療費控除の申告をするなど、申告書の書き方がわからない場合は、会社からもらった源泉徴収票と1年分の医療費の領収書を持って(合計額は計算した上で)税務署に行き、書き方を教えてもらうとよいでしょう。還付金の受取口座番号を記入する欄もありますので、振込先がわかるようにキャッシュカードか通帳、合わせて印鑑もお忘れなく。

 次回更新は2月12日の予定です。