親から学び、子どもから学ぶ

雑誌『赤ちゃんとママ』や、この赤ママWEBの読者のみなさんは、小さな子どもたちを育てている真っ最中ではないでしょうか。小さなお子さんたちは、目の前で毎日、どんどん元気に大きくなっていることでしょう。お子さんを見ていると「産んでよかった!」と何回も感じますね。
子どもがいることは幸せなことです。思い出もたくさんありますよね。初めておすわりしたとき、初めて立ったとき、歩いたとき、初めてママやパパと呼んでくれたとき…。保育園や幼稚園の入園式や入学式など、思い出は毎日、毎週、毎年、たくさんあるでしょう。しかし、お子さんはすぐに大きくなります。そのときの思いは一体、どこに行ってしまうのでしょうか。
子育ては、子どもが小さいときに終わるものではありません。ずっとずっと続きますが、育っていく人は変わっていくでしょう。親が子どもを育てますが、ときには、お子さんが親を育てることもあります。
「育つ」という言葉には、意味がいろいろあると思います。経験や体験を与えたり、新しいことや大切なこと、知識などを教えることもあるでしょう。子どもは親から習ったことをずっと覚えています。時代が変わっても、親から学んだことをいつか、自分自身の子どもを育てるときや他の子とかかわるときに役立てることができるんですね。
子どもが大きくなり、自分で家庭を持ったり仕事をしたりしてから、思いがけずやさしい贈り物をもらうこともあります。子育てを通して親子のつながりや親子の絆は強く、より深くなっていくのです。

日本へ、そして中国へ!

私はこの秋、プライベートと仕事を兼ねて、日本を訪ねました。アメリカにいるもうすぐ91歳になる母の具合が悪く、面倒を見るために、日本とアメリカの間を行き来しています。母はたくさんの病気を患っていますので大変ですが、ずっと子どもたちのために苦労し、子どもたちを守り、優しい心で精一杯育ててくれたのです。今、私の大事な責任は「親のケア」だと思っています。大変なときはたくさんありますが、できるだけ母の命を大切に、と考えています。そうした状況で私が日本を訪ねるため、次女のまゆかと私の弟が母を見てくれることになりました。
日本へ行く準備をしていたある日のことです。中国のインターナショナルスクールで教師をしている長女から、「ビザや航空チケットをプレゼントするから、中国へ来てください!」と連絡がありました。まさか中国へ行けるとは思っていなかったのでとてもびっくりしましたが、中国で働いている長女とは年間を通してもわずかな時間しか会えないので、会えることはもちろん、娘の学校や仕事などを直接見ることができるなんて! と、とてもうれしかったです! 娘のために、中国では手に入らないものなどをたくさん持って行くことにしました。いくら荷物が重くても頑張って持って行きました!!
大きくなっても、娘のことは大好きです。幸せな親です。

また、娘から「ハロウィーンなので、学校でハロウィーンのかぼちゃを子どもたちの前で切ったり、子どもたちや先生たちのためにハロウィーンの切り紙を教えてください」とお願いされました。ハロウィーンは大好き! 長い間、日本ではこどもの城や日本全国でハロウィーンのイベントやショーをたくさんやっていた私は、喜んでその依頼を受けました。ハロウィーンの大事な魔法の衣装、かぼちゃを切る道具や飾り物などをたくさん荷物の中に入れました! ほんとうに楽しみでした。

娘の仕事ぶりに感動!

東京へ行ってから、中国へ飛びました。やっと娘に会える! うれしい!
ドキドキしました。夜中に出発し、朝8時に、娘のいる天津空港へ。すぐに、娘の働いているインターナショナルスクールへ移動です。
学校に着くと、娘が待っていました。昔からの大好きな笑顔を見て、優しいハグをもらって、本当に幸せでした。改めて「親になってよかった!」と思いました! スクールはとても広く、立派な学校でした。はじめに、娘が担当している3歳のクラスへ行きました。いろいろな国から来ている子どもたちは、とてもかわいかったです。

子どもたちを教えている娘の「先生」としての活動や教える姿、子どもと接しているところをみたときは、とてもプラウード(proud:誇らしい)な気分でした。日本でよくいう「親バカ」(よい言い方ではないと思いますが他の表現がわかりません)ですが、娘の教える姿や子どもたちに対する心や指導、しつけの態度などはすばらしいと思います。
考えてみればこれは「親バカ」ではありません。親が自分の育てた子どもを褒めたり、プライドを持ったりすることは変ではなく、あたりまえのこと。子どもを褒めたかったら、子どものことを信じ、サポートしますよね。それは親としての一部ではないでしょうか。
子どもを育て、その子が大人になったときに働いている様子や子どもへの接し方が上手だと、何よりうれしいと思います。
特に、小さい子どもを教えることはとても難しいです。大きな責任にもなりますし、娘の教えている子ども達はいろいろな国から来ているので、言葉や文化、家庭のルールもだいぶ違います。簡単な仕事ではありません。長い間子どもたちを教えている私が、今度は同じ仕事をしている娘のことを見るのは不思議で、そしてとてもうれしいことでした。

その朝、まずは3歳の子どもたちに、ハロウィーンのコウモリや猫の切り紙の作り方を教えました。とても楽しかったです。そのための準備は、娘が全部やってくれました。娘の仕事は完璧で、私の仕事はとても簡単でした! そのあと、別の5歳児の2クラスにも教え、最後には先生たちのための特別研修を行いました。忙しい1日でした!
次の日には、3歳児~2年生までのクラスのために、大きなかぼちゃを切りながら、ハロウィーンの意味や童話を伝えました。子どもも先生も喜んでいました。全部、娘のおかげです。子どもたちや先生たちのために頑張りましたが、心の中には「娘のために」という思いもありました。娘は毎日、一生懸命そこで働いています。できるだけ自分のベストを尽くして頑張りました。
そのあと、3歳児の特別インターナショナルランチがありました。いろいろな国から来ている親たちが、それぞれにいろいろな食べ物を作って持って来てくれるのです。3歳の子どもたちも台所へ行き、テーブルに座って、ランチのためにいろいろな果物(バナナ、、オレンジ、りんご)をナイフで切りました! 4人が同時に切りましたが娘が一人で全員を見ていました。
切り終わると子どもたちは、その台を持って、自分で洗いに行きました。子どもたち一人一人に、ナイフの使い方や切り方を教えている娘の姿に感動しました。それだけではなく、娘が小さかったときに初めて果物を切った体験や、自分で物を洗ったり、片づけていたことも思い出しました。小さい時に覚えたことは、大きくなってからしっかりと役立っていると感じました。

 

スクールにて、娘のくにみと。ハロウィーンのTシャツを着ています。

 

新たな思い出が積み重なって

中国にいたのはわずか4日でしたが、週末にやっと、娘とのプライベートの時間がとれました。やった! 土曜日の朝6時に迎えの人が来て、それから2時間ドライブし、天津のGREAT WALL(万里の長城)へ。時間をかけて、2つの別なWALLへ行き、頑張って2番目のタワーまで上がりました! 階段はかなりきつかったのですが、このような体験はなかなかできないと思い、大きな息を吸って登りました! 娘が心配してくれましたが、娘のため、自分のためにどんどん上がりました! もう少しトレーニングをしていたら、3番目のタワーまでいけたでしょう。
それでも両方の山にあるWALLSを2つ目のタワーまで登れたのでよかったです。景色はもちろんすばらしく、また、それだけではなく娘といっしょに登ったことがすばらしい思い出になりました。娘の「初めての一歩」を思い出し、2人でいっしょにGREAT WALLを踏めたことが、本当にうれしかったです。

 

万里の長城。かなり上まで、親子二人で頑張って登りました!

 

最後の日には中国の新幹線に乗り、娘夫婦といっしょにBEIJING(北京)へ。
新幹線がとても早くておもしろかったです。BEIJINGの駅では、娘が手配してくれた英語のできるガイドさんが待っていてびっくりしました! それから、いろいろ有名な観光地へ行きました。大変良よい勉強になりました。
Temple of Heaven(天壇)、 Summer Palace(頤和園)、それからLama Temple(雍和宮)などなど…。中国の大きさとそのスケールを感じ、アートやデザイン、色の違いを楽しみました。

大人になってもずっと「親子」で!

お子さんを育てるときには、公園や動物園、博物館などに連れて行きます。
そこで家族での思い出がたくさんできます。いっしょにいろいろなことを体験すると、家族がもっと仲良くなりますし、笑うことも楽しむこともできます。今回、娘は、私たちの思い出を作るために心をかけ、自分で一生懸命働いてお金を出して、新しい体験や経験のためにいろいろなところへ連れて行ってくれました。親として幸せでした。東京へ戻る朝、空港へ向かう前に、昔から変わらない、娘の優しい大好きな笑顔を見て、ハグをしました。娘とまた離れることはとても悲しかったですが、心は感謝でいっぱいでした。

みなさんのお子さんはまだまだ小さいと思いますが、大きくなったら、こうした楽しみが待っていますよ。子育ては終わりません! お互いがすばらしく育ちます。いつまでもいつまでもいっしょにできることがあります。親と、大人になった子どもは、世の中にあるかけがえのない宝物なんですね。