私は最近、住んでいるカリフォルニアの近所の小学校で、入院している先生の代わりに3年生の指導を担当しています。日本ではもっと小さいお子さん、特に保育園や幼稚園の子どもたちへ向けた授業をすることが多く、小学3年生を教えるのは久しぶりです。また、それだけではなくこの体験は、現在のアメリカの教育方法の勉強にもなっています。実を言うと、子どもの将来の教育について考えることが多くなっています。アメリカはもちろんとても広く、州や街によっても教育方法が違います。さらにアメリカの方法は、日本の方法や考え方とだいぶ違うのです。
また、現在カリフォルニア州の私たちがいる町では、学校の生徒たちはほとんどヒスパニック、つまりスペイン語が母語である生徒が大半です。英語ができる親のほうが少なく、学校のお知らせや配布物はほとんど英語とスペイン語で書かれています。プリントはスペイン語で書かれているため、英語を話せない親も英語を覚える必要はありません。成績表もスペイン語と英語で書かれ、個人面談では、親のために学校が通訳を手配します。アメリカなのに英語ではないなんて、とてもびっくりですが、これが本当に、親や子どもたちにとってよいことなのかどうか疑問です。

私の娘たちが日本の保育園や幼稚園に通っている間、すべてのお知らせやプリントは日本語のみでした。連絡帳も個人面談も日本語だったので、そのころの私にとっては大きなチャレンジでしたが、娘のために、娘の教育のために、それから自分が日本の文化をもっと理解するために日本語を学ぶこと、使うことはとても重要なことでした。子どもたちのからだや心の中には、アメリカと日本の血が流れていましたから、日本にいるときには日本の言葉、文化、考えをしっかり理解、感謝する必要がありましたし、それと同時に、アメリカにいる間にも同じ努力は必要であると信じていました。
しかし、私はアメリカ人です。いくら日本に長い間住んでいても、私はあくまでもお客さん(guest)でした。そうした立場から、日本のルール、日本のやり方に従う責任があると思いました。その代わり娘たちは、日本それからアメリカの両国の文化や考え、教育を覚えながら勉強し、良いところと悪いところを選択して、私より深い理解を感じてこられたと思います。娘の日本、それからアメリカのheritage(血)のおかげで、私は素晴らしい他文化の勉強をさせていただけたと思っています。

今日は学校に、スポーツのプログラムをリードするために近くにある海軍の基地から男性が10人ぐらい来てくれました。毎年、特別なスポーツのプログラムを企画してくれるそうです。
学校の生徒たちは幼稚園から5年生まで、約750人。残念ながら日本のような運動会はこちらにはなく、一般的な学校でもアート、音楽、スポーツプログラムがだんだんとカットされています。その代わり、英語(読み書き)や算数に力を入れています。
今日は子どもたちにいろいろと、簡単なリレーをやらせました。カエルのジャンプ、犬やクマの歩き、走ることなどなど…。しかし、子ども達の動きを見てびっくり! 簡単な動きなのにからだがかたく、上手にできる子どもが少ないのです。少しの運動ですぐ「疲れた~」というのです。恐ろしいことです! 子どもたちもかわいそうです。教育において運動は、やはり、元気で健康な子どもを育てるためにとても重要なんですね。

赤ママの雑誌やこのサイトを読んでいるパパやママたちはたくさんいます。お子さんはまだまだ小さいと思いますが、まず伝えたいのは、小さい時からお子さんといっしょに、またはお子さんひとりでもいいのですが、必ず運動をさせてあげてください、ということです。からだのため、スピリットのため、健康のため、脳のため、運動は勉強の中の大事な体験です。
日本では小さい時から運動会があります。私たちにとって素晴らしい経験であり、思い出でした。これは本当に素晴らしい活動です。特に小さい時からの大勢の友達の中でからだを動かせることは重要です。運動会には競争もありますが、その競争や、勝つための活動よりも大切なのは、元気に思い切り楽しみながら、ドンドンからだを動かすことでしょう。
日本で、運動を大事にしていることは素晴らしいことと思います。ぜひ、そのことに感謝してください! とても幸せなことなのですから…。

また、小さい時に行うブランコやすべり台、まり(ball)遊びも、とても必要です。ただ、子どもがブランコやすべり台を楽しんでいる時には、親は携帯をしまって、子どものやっていることに目を向ける必要があります。
自由に遊ぶことや走ること、砂場で遊ぶこと、公園にある遊具で楽しむことは必要です。親はそんなとき、子どもの行動をしっかりと見ましょう。それはとても大事なことです。その公園にあるブランコやすべり台などの正しい使い方やルールを教えるのは親の責任であり、安全や楽しい使い方を教えるのも親の役割です。木登りも同じです。丈夫なからだを作るために、動くことは大事なのです。

娘たちの小さいころ、日本の保育園の運動会はとてもおもしろかったですね。赤ちゃんまでの簡単な遊びもあったのですが、やっぱりうれしかったです。赤ちゃんたちはみんなの前で一生懸命、はいはいを頑張りました。
赤ちゃんたちにとって、親にとって、心に残る思い出となったことでしょう。いろいろな楽しい遊びのなかで、子どもはもちろん、参加した親たちも笑ったりすることがあれば、それは人生の中の宝ものとなります。競争のリレーや個人の走りの時、誰かが一番になったということよりもっとも大切なのは「参加すること」なのです。

保育園の運動会での徒競走のとき、うちのパパは娘たちにこんなことを言いました。「もし、自分が10番目になっても、自分の後から来る12人より、自分が10番目になったことは最高です。一番にならなくてもやってみること。一番大切なのは、楽しく走ることです」。娘たちは今でも、そのとき言われたことを覚えています。
誰でも一番になりたいですが、2番目、3番目、最後になっても、頑張ること、参加すること、やってみることは、何より大事なことです。親の立場からすれば、お子さんが一番になってほしいけれど、子どもに必ず、自信をつけさせることの方が大切。親の仕事は、子どもを認めることです。

デジタルが全盛の時代ですから、親も子も、スクリーンに向かう生活はこれから多くなっていくでしょう。でもだからこそ、人間の精神や健康、心、からだのために、運動、特に手の運動などを思いっきりやらせてあげてほしいのです。赤ちゃんでも幼児でも、ぜひぜひいっしょにからだを使って、笑いながら、汗を流しながら、楽しく動きましょう! それから、日本の運動会を大切にしてください。ぜひ参加してください。写真を撮ってビデオを撮って、それからその、持っている携帯やビデオカメラを置いて、子どもと遊んでください。親も子どもも、お互いに、もっと心が元気になると思います。