カラフルフーディングコラム

ピンクは弱い色?強い色? - 第84回 - 【最新コラム】

女の子の赤ちゃんや女の子のベビーグッズを象徴する淡いピンク。もろくて、はかなくて、愛らしい。そんなイメージをかきたたせます。
じっさいに、淡いピンクの毛布にくるまれた赤ちゃんを目の前にしたら、その愛らしさに、思わず顔が緩んでしまうでしょう。そして、やわらかくはかなげな赤ちゃんに愛情を注がずにいられなくなるでしょう。人がピンクを見て感じたとき、そこには「無条件の愛」のメッセージが同時にやってくるのかもしれません。
ピンクと言えば、今年の桜も見事でしたね。東京では桜の開花と同時に、台風のような嵐が押し寄せました。誰もが、桜が散ってしまうのではないかと心配したことでしょう。しかしながら、開花直後の桜はとっても強かった。花が落ちないように、つぼみが飛ばないように、必死に耐えたのです。そして、嵐が去った翌日は、落ちるどころか、さらにたくさんの花を咲かせていたのです。
何事もなかったかのように咲く桜を眺めながら、ピンクの底知れぬ力強さを感じました。まるで、命がけで我が子を守る母の強さにも似たような強い力を……。そして数日後、役割を終えた桜の花がいさぎよく散る様も、かっこよかった……。
ピンクは、客観的にみれば、淡く優しく弱々しい色あいですが、深い部分で見ていくと、そこには、無条件に愛情をそそぐ強い力も、それを無垢な心で自然に受け入れる大きな器があり、バランスをとって共存していたのですね。
そして、そのバランスを保つポイントは、過剰な執着をしないということかもしれません。時に、愛はいさぎよさも大切なのです。

文=成瀬紀子
COLORFUL FOODING

春色への挑戦 - 第83回 -

風の中に少しずつ湿り気が混じり、ちょっとずつ着る服が軽くなると、春のおとずれが待ち遠しくてたまらない気持ちになります。そのうずうずとした気持ちは、春色探しへと変換され、春色をみつけたり、食べたりすることが、新しい季節への準備となり、すっかり年中行事になってしまいました。私にとって、旬の食材と色を組み合わせながら作り出す春色料理は、毎年、新たな挑戦でもあり、楽しみでもあるのです。
まず食べたくなるのが、桜をイメージさせるピンクをテーマカラーにした料理。
冬から春にかけて出回る食材でピンク色を演出できるものと言えば、いちごにラディッシュ、桜鯛、新鮮な桜えびでしょうか。あとは、定番ピンクカラー食材の鮭、えび、カニ、たらこ、ハム類、ピンクグレープフルーツ、ピンンクペッパーなど。白の食材と混ぜたり、アントシアニン系の色素と酸を合わせてピンク色を作るテクニックを使ったり、演出の方法はいろいろです。
ピンク色の食材を並べてみると、離乳食向けの食材は少ないので、春色は大人のおたのしみかもしれませんね。
さて、今年も春色への挑戦の季節となりました。
やわらかで口の中でとろけるえびしんじょ、昆布でしめた桜鯛のお寿司、茹でた桜えびと春キャベツのサラダ……。妄想は膨らみます。
簡単なところでは、いつもの料理にピンクの食材を混ぜたりトッピングしたりするだけ。
寿司飯に鮭フレークとごまを混ぜたり、サラダにピンクグレープフルーツをトッピングするだけでも春を感じる一品になりますよ。
みなさんも、新しい季節にむかっての新たな春色の挑戦、いかがでしょうか?
ジャム用のいちごでも十分おいしい、いちごのドレッシングもぜひお試しください。

☆いちごのドレッシング
http://www.akamama.co.jp/rinyusyoku/recipe/otona/otona_ichigo.html

文=成瀬紀子
COLORFUL FOODING

ほっとする色、ほっとする味 - 第82回 -

思えば、若い頃。毎日が変化にびワクワクとすごした海外武者修行時代。一度も日本食を恋しい、無性に食べたいと思うことはありませんでした。
最近になって、フォークとナイフでいただく食事が続き、しかも精神的に疲れてくると、おはしで食べるあっさりとした食事を求めている自分がいることに気づいてしまいした。無意識に、みそやしょうゆの食事を作って味わい、飾り気のない茶色に癒されているのです。年齢に嘘はつけないとしみじみと感じました。

色彩心理では、大人の場合、にぎやかな環境に飽きたとき、一時的に疲れを感じるときに茶色を選ぶと言われます。一般的にあざやかな色を好む子どもにとっては、つまらない色ととらえられることが多いそうです。
選ぶ色の対象物は、限定されてはいませんが、これは料理の色にぴったりと当てはまると思いませんか?カラフルなものが続くと、おふくろの味が恋しくなるという……。
もし、あなたにそんなことがあったなら、まずはシンプルな和食で心と体を癒してあげましょう。そしてその裏にあるもう1つのメッセージにも気づいてあげてください。冒険はせずに、堅実に毎日を送りたいと思う気持ちにも……。

文=成瀬紀子
COLORFUL FOODING

赤は食欲活性カラーなのか!? - 第81回 -

一般的に、赤やオレンジは食欲活性カラーと言われています。
私も、それを知った当初は、当たり前のように、食欲のないときは、赤やオレンジを使って食欲活性を促しましょう!と提案していました。
でも、いつの頃か、それに疑問を感じ始めました。
年齢、性別、体調、精神状態、おかれている環境はみんなそれぞれ違うのに、赤やオレンジがすべての人において食欲活性カラーなのかと。朝だったら?食の細い人はどうなの?食べたいのに食事制限がある人はどうなの?お年寄りの女性は?男性は……?

先日、赤をテーマに作った赤の料理と緑をテーマに作った緑の料理を、50名ほどの方にお見せして、どちらが食べたいかと質問したところ、半々に分かれました。ある方は、頭の中では赤と思っていても、体が食べたくなったのは緑で驚いた。ある方は、赤がどうみえてもおいしそうなのに、緑が食べたいと思う人が半分もいて驚いた。とご意見いただきました。
そうなのです。自分が、赤は食欲活性カラーでおいしそう!と思っていても、ある方にとっては、ただのボリュームたっぷりでくどい料理にしかみえないということがあるのです。
だから、その人の立場にたって、食欲活性カラーを考えて献立を組み立てたり、カラーフードコーディネートをする必要があるのですよね。

みなさんも、あらゆるシチュエーションで、赤と緑を感じてみてください。例えば、真っ赤な夕食を作って、家族の反応をみてみると、言葉にでない内なる声が聞こえてくるかもしれませんね。

文=成瀬紀子
COLORFUL FOODING

色で楽しくおいしく食育 - 第80回 -

5歳くらいになると、ママとお料理を作ったりとすすんでお手伝いをするようになってきます。
お手伝いも、卵を割ったり、材料を合わせたり、食材を混ぜたり、上手にできることが増えてきて、子どもはそれがとってもうれしそう。
先日、子ども達とおやつを作ったときのエピソードをお話します。白いヨーグルトクリームの上にカラフルなトッピングやジャム、ソースを準備してカラフルパフェを作りました。
2歳くらいの女の子は、ヨーグルトクリームの上に好きな色をのせて楽しそう。トッピングやソースでカラフルに飾って大満足の仕上がりになりました。
4歳5歳になると、のせるだけでは物足りないご様子。いろんな色のソースやフルーツを加えてはまぜまぜ、まぜまぜ。どうやら、最近お手伝いにはまっているちびっこにとって、混ぜる動作はとっても楽しかったみたい。そして、混ぜる度に色が変わり、色んな色を混ぜすぎると表現しがたい色と味になることも身をもって味わったようです。それでも、子どもは子どもなりに、ヨーグルトの色を表現したり、パフェに名前をつけて、自分で作ったパフェを満足そうに食べていました。
自分で選んだり、飾ったりすることは、色彩感覚や創造性を高めます。自分で選んだ食材をじっくりと味わうことは、味覚を育みます。
多少、おかしな色や味になったとしても、子どもにとってはそれが経験であり勉強なのですね。

文=成瀬紀子
COLORFUL FOODING

離乳食に旬は取り入れるべき? - 第79回 -

秋になれば、きのこにさつま芋、栗が食べたくなったり、秋が深まり北風がふけば温かいおでんや鍋が食べたくなったり、季節や気温によって食べたいものが左右されます。では、離乳食ではどうでしょう?
確かに、親としては赤ちゃんにもその季節にしか味わえない旬の素材を食べさせて、いろいろな味を経験させたいという思いもあるでしょう。
でも、ものによっては、山菜や薬味で使われる野菜のようにアクや独特な香りが強かったり、しいたけやたけのこ、とうもろこしのように繊維が豊富で軟らかくなりにくいものであったり、特に離乳食を始めて1〜4ヶ月の赤ちゃんには好ましくないものもあるようです。
赤ちゃんにとっての食事の基本は、食べる事になれること。そして食べやすい食材が食べやすく調理され、ミルクでまかないきれない栄養素をとりいれるということ。旬の素材であることの条件は二の次ということですね。
そうはいっても、旬の食材すべてが離乳食にむかないわけではありません。離乳食の定番野菜が旬に当たった時には積極的に使用するとよいでしょう。
冬なら、カリフラワー、白菜、大根、かぶ、小松菜、ほうれん草、にんじん、じゃがいも、りんご、みかんなどがおすすめです。

文=成瀬紀子
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目につく?おいしそう?青のパッケージ - 第78回 -

青のパッケージは、スポーツドリンクのさわやかさ、豆腐のひんやり感、クッキーの高級感のイメージをかきたたせるためなどに使われてきましたが、一方で食欲をうせさせたり、冷ややかさをイメージさせたりと、特に温かな食品にはあまり使われることはありませんでした。
ここ最近、スーパーの食品売り場を眺めると、青のパッケージがコンビニポータジュやスープ、ラーメン、カレーなどの温かさが売りの食材にもよく使われていることに気がつきます。
例えば、シーフードや海鮮、ほたて、塩、など海をイメージするものに多く使われているようです。
この背景には、近年、生活環境が豊かになりデザインの多様性が熟成してきたことがあるでしょう。身の回りの様々なものの斬新なデザインや色使いに私たちの目が慣れてきて、食品のパッケージの色を従来の慣習にとらわれず、使われるようになったように感じます。
また、食品売り場の棚には、黄色やオレンジなどの暖色系が多く並ぶ中、あまり使われてこなかった青が逆にアクセントになり、目に入りやすいということもあるでしょう。
おもしろいことに、お店の中のたくさんの色の中にある青は、売り場の調和のとれたデザインの1つとしてみえますが、それを購入し家で単品としてみてみると、意外と食欲活性をそそらないことも……。
みなさんも、食品売り場にある「青のパッケージ」お家で手に取る「青のパッケージ」の見え方の違いを試してみてはいかがでしょう?

文=成瀬紀子
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秋にいただく生命の色 - 第77回 -

見上げる空には、秋の雲が流れ、風の中にもすっきりとした空気を感じる季節になりました。
自然界の色も爽やかに輝いていたフレッシュグリーンから、少しずつ茶色のアースカラー寄りに変化するとともに、来年への命をつなぐ赤やオレンジ色の実が目立つようになってきました。
赤は緑の中でもよく目立つ色ですが、秋になり緑が減ることでより強調されるように思います。そうやって、果実は鳥たちに存在をアピールし、次の世代へ子孫を残すのでしょう。一見力の弱い植物達は、色の力さえも最大限に利用しているのが分かります。
人間は、さまざまな知恵を持ったために色の力は、必要不可欠ではなくなってしまいましたが、季節のうつろいの中にたたずんだとき、人が色彩コミュニケーションからとり残されたことをとても残念に思うのです。
生命を繋ぐ季節の今だからこそ、もう一度、自然の中で、命の輝きのサインに注目してみてはいかがでしょうか?
まっ赤に熟れた柿、茶色く染まりぱっくり割れたいが栗、赤紫に彩られたいちじく……。
色彩コミュニケーションを受けとりながらいただく秋の宝物たちは、心や体に滋味深く染みわたってゆくことでしょう。

文=成瀬紀子
COLORFUL FOODING

イタリアでの食の彩り - 第76回 -

縁あって、始めてイタリア、ローマの地をふむチャンスに恵まれました。
お世話になったイタリア人の50代前半の食に精通した男性と、食と色の話しをしたのですが、イタリア人と日本人では料理の色彩感覚がまったく違うことを改めて実感しました。日本の給食施設がいかに彩りに苦労しているか、ピンとこないご様子でした。
それもそのはず日本は大豆(しょうゆ、みそ)文化。とかくおふくろの味は、肉料理も魚料理も野菜料理も汁物も茶色になりがち。茶色は安定を表す色なので、このような色の食事が続くと変化がなく同じような食事に見えてきてしまうのです。なので、日本人は、特にハレの食事となると、にんじんを明るさやポイントとして加えたり、えびやいくらなどで喜びや豪華さを表したり、朱色の器であざやかさの後押しをしたりしてハレとケを区別してきました。日本人にとって、赤はハレの色、喜びの色として根付いているのです。
一方、イタリアは、地域にもよりますが、オリーブオイル、トマト、チーズ文化。お皿の中の食材は調味料に染まることなく、素材の色が鮮やかに活かされます。
よく、日本の給食や家庭料理では、味のためでなく彩りのために置く野菜(サラダの上のプチトマト、青菜の和えものの中のにんじんのように)を明るく華やかにみせるために使いますが、イタリアでは、赤系の素材をそのように使う例は少ないように思いました。といいますか、一般に使われる赤の素材(トマト、トマト加工品、赤ピーマン、唐辛子、生ハムなど)に溢れているので、そんな小技は必要がないようです。
イタリア人にとって、食卓にある赤はいたって通常。敢えてとりいれなくても明るくメリハリのある食卓が演出できるのです。
イタリア人はよく情熱的と表現されますが、普段から赤いものを食べているのですから、根っからの情熱家、ロマンチストを言われても当然かもしれませんね。

文=成瀬紀子
COLORFUL FOODING

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