今月取り上げるのは、教育訓練給付金。今年の1月に制度が改正され、子育てで退職したママにも、より利用しやすい制度になりました。さっそく、制度の概要からご紹介していきます。

条件を満たすと最高10万円の給付金がもらえます

教育訓練給付金は、雇用保険の被保険者期間(雇用期間)が原則として3年以上あった人が、厚生労働大臣が指定する一般教育訓練対象講座を受講して、きちんと修了した場合に受け取れるお金です。在職中の方だけではなく、被保険者でなくなった日(=退職した翌日)から1年以内に受講をスタートすれば、退職した人でも利用できます。被保険者期間は原則として3年間必要ですが、初めて申請する方については、今のところ被保険者期間が2年以上でも申請できるようになっています。

受け取れる給付金額は、受講料の40%、最高10万円。教育訓練支給申請書や身分証明書などを持参してハローワークで申請します。

ところで、今回焦点をあてるのは「改正された部分」。本来、教育訓練給付金を受け取るには、前述の通り、被保険者でなくなった日から1年以内に受講を開始しなければなりません。ですが、妊娠や育児、病気など事情がある場合は最長で3年間、受講開始時期を延長できるようになっていました。

それが今年の1月からは、従来3年間だった延長期間が一気に19年になりました。その結果、最長で20年以内に受講を開始して修了すれば、教育訓練給付金がもらえるしくみに変わったのです。

専門的な資格取得を目指すと、最高で70%の受講料が給付

一般の教育訓練給付金のほかに、専門実践教育訓練給付金という制度もあります。こちらは制度の名前の通り、より専門的な講座を受講した場合に受け取れる給付金です。資格の例としては、看護師、診療放射線技師、救命救急士、理学療法士、作業療法士、美容師、理容師などが挙げられます。

申請できる条件などは、一般の教育訓練給付金とほぼ同じ。こちらも、最長で退職の翌日から20年以内に受講を開始すればよいことになりました。ただし一般の教育訓練給付金と異なるのは、専門実践教育訓練を受講する前に、訓練対応キャリアコンサルタントによる、訓練前キャリアコンサルティングを受ける必要があることです。

専門実践教育訓練給付金額は受講料の50%、年間の最高額は40万円です。支給の上限は3年間なので、3年間受講した場合は最高で120万円がもらえます。

また講座を修了して資格を取得したのち、1年以内に仕事に就くと、追加分として受講料の20%が上乗せされます。追加分を合わせると、受講料の70%分が専門実践教育訓練給付金としてもらえる計算になり、給付金の上限は年間で56万円、3年間の最高額は168万円です。

退職の翌日から20年以内に受講を開始すればよくなったこは、赤ちゃんを育てながらでは講座に通うのが難しかったり、下のお子さんを望んでいたりする方などには、子育てが落ち着いてから受講を開始できるようになり、朗報といえるでしょう。子育てのために仕事は辞めたけれど、資格を取っていつかは再就職を、と考えている方は、制度について調べることをおすすめします。

最後に、被保険者期間が2年以上あるけれど、3年に満たない方への注意点を。当面は2年以上の被保険者期間があれば、給付金の申請ができるようになっていますが、「当面」がいつまで続くのかはわかりません。申請しようと思ったときに、被保険者期間が3年以上必要になっている可能性があるわけです。該当する方は、「被保険者期間の条件が改正されないか」をときどきチェックするようにしましょう。