早いもので、もうすぐ12月。会社員の方は、年末調整の手続きを終えたころではないでしょうか。出産を機に、夫婦どちらかが退職をした場合は、年末調整でその旨の申告が必要になります。

ただし、年末調整で仕事を辞めたことを申告しても、税金と健康保険では、扶養の考え方が異なります。そこで今月は、税金と健康保険の扶養家族の考え方の違いをご紹介していきます。

仕事を辞めても配偶者控除が受けられるとは限らない

まずは、税金から。年末調整では「所得税」に関する手続きを行います。払いすぎているときは、12月のお給料で還付を受けられます。逆に退職したことで、配偶者控除を受けるつもりでいたのに、収入がオーバーして受けられないことがわかった場合は、追加納税する必要があります。

夫婦どちらかがが平成29年のどこかで、出産のために仕事を辞めた場合、配偶者控除を受けられるかどうかは、辞めるまでに得た収入によって決まります。ですが、「仕事を辞めた=配偶者控除が受けられるようになる」と思っている方はいませんか? 年収が一定額を超えていると、平成29年分の配偶者控除を受けることはできません。

一定額とは、会社員やパートで働いている場合は、年収で103万円が目安。アルバイトやフリーランスの場合は、仕事にかかる経費を除いて38万円を超えた場合は、配偶者控除を受けられません。そのまま働いていなければ翌年、つまり平成30年から配偶者控除の対象になります。

また、1年の途中で退職したときは確定申告が必要になります。所得税は、1年間働くことを前提に源泉徴収されているからで、払いすぎた税金を確定申告で取り戻しましょう。ただし、仕事を辞めても、住民税の支払いは残ることには注意が必要です。

社会保険は被扶養者になれるのが一般的です

続いて社会保険について。社会保険は税金と違い、出産などをきっかけに退職し、この先、しばらく働かないのであれば、扶養家族になれるのが一般的です。それまでに夫婦で同じくらいの収入を得ていたとしても、この先の収入がなければ、仕事を続ける方が加入している健康保険の被扶養者になれるケースが多いでしょう。国民健康保険の被保険者であれば、配偶者も国民健康保険の被保険者になります。

ただし健康保険組合のなかには、「今年の収入は多いので、被扶養者になれるのは来年からです」など、加入ルールを設定しているところがあるかもしれません。そのようなケースでは、健康保険組合ごとのルールに従って、翌年から被扶養者という扱いになります。被扶養者になるまでは、健康保険料の負担が発生しますので、忘れずに支払いましょう。