奨学金を借りる学生がふえていることや、借りた奨学金が返せなくて困っている話を見聞きする機会がふえてはいませんか。みなさんにとっては、遠い未来の話であり、今はまだピンとこないかもしれませんが、教育資金の準備を怠ると、子どもに奨学金に頼った大学時代を送らせてしまう可能性があります。他人事ではなくなるかもしれません。

「教育資金が準備できない」というのも、万が一のリスクといえますが、今月は大学よりも少し手前にある支援制度をご紹介したいと思います。

小児がん経験者は高校時代に給付型奨学金を申請できる

世の中には、シングルでお子さんを育てているご家庭を支援するために児童扶養手当の制度が設けられていたり、父親を亡くされたご家庭には遺族年金が支払われたりします。これらは国が導入している支援制度で、条件に該当すればもらえるお金です。制度は広く知られていますので、該当しているご家庭で、「もらい損ねる」というケースはほとんどないと思われます。

そうした児童扶養手当や遺族年金などの国の支援制度に対して、民間の会社が独自におこなっている支援制度があります。お子さんに関係する制度の例をあげますと、がん保険で知られているAFLACが、「給付型の奨学金制度」を実施しています。制度の名称は、「アフラック小児がん経験者、がん遺児奨学金制度」といいます。

申請できるのは、小児がんと闘った経験を持つお子さんや、がんで保護者を亡くされたお子さん。AFLACの保険に入っていない方でも申し込みができ、給付額は月額2万5000円です。

現在は年度の途中なので、募集期間ではないものの、20年以上の歴史を持つ支援制度です。高校1年時に採用されれば、高校時代の3年間、毎月2万5000円がもらえます。給付型ですので、返済の義務もありません。

高校時代は、授業料が無償化になっている公立高校に通ったとしても、部活の費用や通学費用、あるいは塾代のように、家計から出さなければならないお金が毎月2~4万円くらいは発生します。大学受験に向けて、家計が厳しくなるときですので、保護者をがんで亡くされた方には、ぜひ利用して欲しい奨学金制度といえます。

「こどもちゃれんじ」を無償配布する新しい支援のカタチ

そして、もうひとつ。今回ご紹介したいのは、東京海上日動あんしん生命保険が昨年スタートした支援制度です。病気が原因で保護者を亡くされた小学生以下のお子さんを、サポートするための制度。制度の名称は、「東京海上日動あんしん生命幼児教育支援制度」といいます。

支援の方法としては、お子さんが年少から年長までの最長3年間、「こどもちゃれんじ」(ベネッセコーポレーション)を無償で提供するというもの。「こどもちゃれんじ」にかかる費用を、保険会社側が負担してくれます。この制度にはAFLACと同様、同社の保険に加入していなくても申し込めます。募集人数は100名です。

こちらは、現在募集中。今年度の締め切りは10月31日になっています。前回は定員に満たなかったそうなので、条件に該当すれば、支援が受けられる可能性の高い制度なのです。みなさんのご家庭では該当しないとしても、ご友人や知人などで、該当するご家庭をご存知でしたら、ぜひ、情報を伝えて欲しいと思います。

民間の支援制度は、情報をつかめた人だけが利用できる制度ともいえ、気づかないままのものもたくさんあるように思います。起こってほしくはないことですが、万が一が起こってしまったご家庭には、こんな「支援のカタチ」があるのだと知っていただきたくて、今回はこのテーマを取り上げました。