小児科医による説明・アドバイスが読めるページです。

食事のことQ&A


ほ乳瓶を嫌がります。

どうしたらいいの?

生後1ヵ月です。先日、ほ乳瓶でミルクをあげようとしたら、嫌がって飲んでくれませんでした。どうしたら飲んでくれるでしょうか。

乳首の材質を変えたり、ミルクをあげる人を変えたり工夫してみましょう。

これまでお母さんの乳首に慣れていた赤ちゃんが、ほ乳瓶を嫌がることはよくあります。最近では、乳首の材質やサイズなど、さまざまなものが市販 されていますので、赤ちゃんの口にあうものを探してみましょう。乳首をあらかじめ人肌程度に温めておくと飲んだとか、お母さんではなく、他の人が飲ませた ら飲んだとか、スプーンで数口飲ませ、そのあとほ乳瓶を口に入れたら飲んだという話も聞きましたので、いろいろと試してみてください。赤ちゃんには、驚く ほどの生命力と適応力がありますから、次第にほ乳瓶にも慣れてくれるでしょう。


母乳が足りているか不安です。

どうしたらいいの?

2ヵ月の男の子です。1ヵ月健診でも体重の増え方は順調でしたし、その後も、標準のペースで増えています。でも、おっぱいの間隔がいつまでもあ かず、夜中でも、1時間ももたずに泣いて起きてしまうので、おっぱいが足りていないのではないかと不安です。ミルクを足したほうがいいでしょうか。

赤ちゃんのペースです。飲み終えた後、満足そうなら大丈夫です。

体重の増え方が順調ということですから、おっぱいはまちがいなく足りているでしょう。 赤ちゃんのおっぱいの飲み方にも個性があって、一度にた くさん飲み、授乳間隔があく子もいれば、一度に飲める量は少しで、すぐに疲れて寝てしまう子もいます。かつては、授乳間隔を定めての授乳がすすめられてい たこともありましたが、現在では、自律授乳といって、赤ちゃんが欲しがったときにあげる方法によって、母乳の出もよくなり、赤ちゃんも自然に授乳のリズム が作られていくと言われています。

30分以上乳首をくわえていても満足した様子がなく、乳首を離すと泣くというように、赤ちゃんの様子から、飲み終えたあとの満足感がうかがえな いような場合で、しかも体重の増え方も思わしくない、という場合には、母乳の出が悪いことも考えられます。おっぱいの回数や間隔より、飲み終わったあとの 赤ちゃんの様子を見てみましょう。スーッと眠りに入るようなら、まったく心配ありません。 それでも、夜中に授乳間隔があかないというのは、お母さんに とってはつらいことでしょう。お母さんが就寝する前の一回はミルクにしてみると、母乳よりは多少「腹持ち」がいいかもしれません。


ミルクを、ほしがるままに与えていいですか。

どうしたらいいの?

2か月の子どもです。母乳ならば、赤ちゃんがほしがったらあげる「自律授乳」でもいいと思いましたが、私は理由あって母乳があげられず、ミルクで育てています。ミルクの場合でも、ほしがるままにあげてよいのでしょうか。肥満などが心配です。

ミルクの場合も母乳と同じでかまいません。

母乳でもミルクでも、基本的には同じ方針で、赤ちゃんがほしがったらあげてかまいません。赤ちゃんが一度に飲める量には個人差があり、したがって、空腹になるまでの時間も、1時間の赤ちゃんもいれば4時間の赤ちゃんもいます。自分の赤ちゃんのパターンを覚えましょう。

今の粉ミルクは、母乳に近い成分の、すぐれたものになっていますから、多少飲み過ぎても、それが原因で肥満になることはありません。


果汁はいつからあげればいいですか。

どうしたらいいの?

生後3ヵ月になります。そろそろ果汁やスープをあげる時期かと思いますが、友人からは、まだ臓器ができていないから、母乳だけのほうがいいと言われました。母乳だけのほうが、アトピーにもなりにくいと聞きました。本当のところはどうなのでしょうか。

4ヵ月ぐらいから、味の経験を増やす目的で。

母乳は乳児にとって最良の栄養源です。栄養バランスが良いだけでなく、赤ちゃんを感染症から守る抗体(免疫グロブリン)や白血球も含んでいま す。さらに赤ちゃんの成長にしたがって、成分が微妙に変化していきます。ミルクも母乳に近いものになっていますが、このあたりはまだ母乳にはかないませ ん。母乳栄養児は人工栄養児に比べて、下痢になりにくく、アトピーも少なめであることもわかっています。

この時期には、まだ赤ちゃんの栄養としては、母乳(ミルク)で十分ですが、いつまでも母乳(ミルク)だけで乳幼児の栄養をまかなうわけにはいき ません。そのために、少しずつ他の食べ物に慣れ、そしゃく(かむこと)やえん下(飲み込むこと)の練習をしていく必要があります。これが離乳食です。 通 常、生後4ヵ月ころから、果汁や野菜スープを与えることがよく行われています。この果汁は栄養学的に必要なのではなく、あくまでも、「この世には、いろい ろな食べ物があるんだよ」ということを教えるのが目的です。ほんの少しの量の「お試し」でいいので、母乳(ミルク)だけ与え続けてもかまわない時期です。

ただしその理由は、「臓器ができていない」からではありません。4ヵ月の乳児に少量の果汁や、薄いスープ、あるいはおかゆを与えて、何か健康や 発達に悪いことが起こるわけではありません。大人の食事を見ながら、口をもぐもぐさせたり、よだれが増えてきたら、離乳食開始のよいタイミングです。一日 何さじとか、何日で次のステップとか、かた苦しく考えず、少しずつ味の経験を増やしてあげるとよいと思います。


離乳食を食べてくれません。

どうしたらいいの?

もうじき8ヵ月になるのに、離乳食をなかなか食べてくれず、いまだに一回食です。その一回も、ほとんどべーッと出してしまい、食べられるものは、おかゆとみそ汁の上澄みスープ、かぼちゃのペースト程度です。このままで、栄養不足にならないか心配です。

もうしばらくは、母乳+1回食でいきましょう。

赤ちゃんは、食べ物の味や舌触りに関しては大変保守的です。いったん親しんだ味や舌触りと異なる食物が口に入ると、いやがったり、口から出した りします。これは、赤ちゃんに生まれつき備わった防衛反応です。初めての味や舌触りのものは、食べられないもの、食べるとからだに害を及ぼすものである可 能性があるからです。私たち大人も、いつもと違う味がすると、口から急いで吐き出したりすることを考えれば、赤ちゃんの気持ちも分かるというものです。

また、離乳食のスケジュールをこなすことにとらわれてしまって、つい忘れがちなのが、「おなかがすいたときに食べたい」という赤ちゃんの気持ち です。もともと食事は、おいしさを味わうと同時に空腹感が満たされる、という二重の楽しみがあります。ところが、あまりおなかがすいていないときに、知ら ない味を無理に口に入れられる経験が重なると、食事によっていやな気分が連想されてしまいます。

離乳食の回数は、焦ってスケジュールどおりにする必要はありません。栄養的には、まだ母乳(ミルク)中心で十分なのです。食べられるものが増え ないことについては、「食べてもらいたい」という一心から、食べてくれるものを優先して食べさせていれば、なかなか新しい味には慣れていきません。一度食 べさせて吐き出してしまったら、そのときは無理強いせずにすんなりとあきらめ、次の食事、その次の食事と、同じ食材を、おなかがすいているときに口に運ん でください。味や匂いに慣れれば、赤ちゃんは食べられるようになります。そして、ひとつの食材に慣れたら次の食材と、ゆっくりと増やしていきましょう。


食べ物で遊ぶのが見逃せません。

どうしたらいいの?

1歳の子どもです。このごろ、自分で食べることに意欲的なのはよいのですが、食事に手を伸ばしても、すぐぐちゃぐちゃと遊びはじめてしまいます。私はそれがどうしても許せないので、食事を子どもの手の届かないところにおき、私がスプーンで口に運んでしまいます。

食事時間を決めて、その間は大目に見てあげましょう。

子どもが自分で食事に手を伸ばすようになるのは、非常に喜ばしい成長です。食べる楽しさを知り、食べる意欲が育ってきた証拠です。

ひと手間かかりますが、食事のなかに、手づかみで食べられるものを一品入れてあげてください。そして、自分で食べられたら「おいしいね。上手にパックンで きて、おりこうね」と、たくさんほめてください。五本箸(つまりは手づかみ)でじょうずに食べられるようになると、スプーンやフォークも上手に使えるよう になります。

どうか遊び食べも大目に見てあげてください。赤ちゃんはおもちゃも食べ物も、手で触って確かめたい時期です。食事のときには、食卓の下にビニールシートを敷く、ふきんやぞうきんを用意するなどで対処してください。

ただし、遊びながらも食べているうちはいいですが、遊ぶだけになってしまったら、さっさとごちそうさまをして、片づけてしまいましょう。だいた いの目安は20分。叱らずに、でもきっぱりと、「遊ぶだけなら片づける」を実行しているうちに、食卓のルールも何となくわかってきます。スプーンやフォー クも、使いたくなったときにいつでも使えるように、子ども用のものを置いておいてあげるとよいでしょう。


偏食がひどくて困っています。

どうしたらいいの?

1歳6ヵ月の子どもですが、好き嫌いが激しくて、食べられるものがほとんどありません。納豆、ご飯、玄米シリアル、ホットケーキ、果物のジュース、牛乳、麦茶、水以外は何も食べません。

食べ慣れていないのです。あきらめず気長につきあって。

生まれたばかりの赤ちゃんは、母乳やミルクを飲んで育ちます。またどんな国に生まれた赤ちゃんでも甘いものを好み、渋い味やすっぱい味は嫌います。

世界中の子どもが、ピーマン、ブロッコリー、パセリが嫌いですが、大人になるとむしろ好きになるのは、経験を通じてです。小さい子どもの偏食 は、子どもに備わった新しい味に対する防御的な本能と、食事のときにそうした変な味がするものを半強制的に食べなくてはいけないという経験が関係していま す。

この時期の子どもは、味はよくわかるようになっていますが、嗜好は定まっていません。「いや」をするのは、食べ慣れていなくて警戒しているので す(つまり、ほとんどが食べず嫌いです)。ここで強制することは、その食材だけでなく、食事そのものにもいやな経験を植えつけてしまうことになります。  偏食への対応法は、二通りあります。

第一の方法は、調理法や味つけを変化させてみることです。いったん偏食になると「嫌いなものを食べなくてはいけない」という心理的な影響があり ますから、原型をとどめないように細かく刻んだり、味つけを変えることです。栄養の偏りを避けるだけなら、嫌いなものを意識して、我慢して食べる必要はな いのです。

第二の方法は、本人の空腹感を利用することです。どんなに嫌いでも、ほかに食べるものがなければ、最初は仕方なしに食べるものです。「今、ご飯 作っているところだから、ちょっとこれを食べて待っててね」とでも言って、お花の形に小さくくりぬいて、子どもの好きな味で柔らかく煮るというように、食 べやすく工夫したにんじんをひと切れ小皿に出し、それが食べられたら、「えらいね、にんじんのお花、食べられたね」とほめて、「じゃあ、納豆ご飯も食べよ うね」というように、親が根負けせずにじっくりつきあうことによって、「にんじんはおいしくない、食べたくない」という思い込みそのものを変えていくこと も可能です。


自分で食べようとしません。

どうしたらいいの?

もうすぐ2歳になりますが、食べることへの意欲がなく、自分で食べようとしません。私が口に運ぶと、きちんと量も食べるのですが。

時期を待つ方法も、手伝わない方法も、どちらも考えられます。

子どもにしてみれば、大好きなお母さんにかまってもらえるのですから、頼めば食べさせてくれるのなら、それがいいのでしょう。お母さんに食べさ せてもらうのが楽しい、というのは、これまでいやなものを無理やり口に入れられたりする経験がなかったということでしょうし、食事が楽しいというのは、そ れはそれで望ましいことです。

お母さん自身も、お子さんに食べさせてあげるのが苦でないのなら、自分で食べるように言い聞かせることを続けながら、自分で食べるようになるまで待ってもいいと思います。集団生活に入るようになれば、自然に自分で食べるようになります。

もし、どうしても自分で食べるようにさせたいのなら、一切お手伝いしない方針に切り替える方法もあります。最初は泣いたり食べなかったりするか もしれませんが、おなかがすけば、仕方なく自分で(最初は手づかみかもしれませんが)食べるようになるはずです。そのかわり、食べこぼしや多少の遊び食べ は大目に見てあげてください。


野菜嫌いの子です。サプリメントを与えたいのですが。

どうしたらいいの?

2歳6か月の子どもですが、野菜をほとんど食べてくれません。
ビタミン不足が気になるので、サプリメントで補ってよいでしょうか。

自然の食材から栄養を摂りましょう。

いろいろな食べ物を知り、おやつなども食べるようになると、好き嫌いも出てきます。この時期は、反抗期とも重なり、なかなかてごわい時期でしょう。せっかく手をかけて作っても食べてくれないとなると、食事のしたくもむなしくなりますし、栄養不足も気になりますね。

でも、そこでサプリメントに頼ろうとしてしまうのはちょっと待ってください。サプリメントはあくまでも機能食品であり、積極的に子どもに食べさせるもので はありません。栄養不足が気になるなら、野菜を子どもにわからないようにすりつぶしたり細かく切り刻んで混ぜ込むなどの工夫をして、少しずつでいいですか ら、食事のなかで摂取してください。元気で顔色もよいなら、多少好き嫌いがあっても食が細くても、心配しなくて大丈夫です。

子どもはこれから食習慣を養っていくのです。この世にはまだまだおいしいものがたくさんあるのだということを、教えてあげてください。豊かな食習慣は、からだだけでなく、きっとこころも豊かにしてくれるはずです。


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